人生で初めてピアス穴を開けた。ピアス処女の卒業である。ということを言ったら「お前はピアス処女つーより、ピアス童貞だろ…」と言われた。確かにその通りだ。だがこれで童貞卒業だ。俺は男になったんだ。
いやよく考えたら私はピアスをクリニックで開けた。これではピアス童貞卒業とは言えないかもしれない。ピアス素人童貞だ。
ことのきっかけは特にない。ただピアスに対して漠然的な思いがあったしイヤリングだとすぐに取れてしまって無くしてしまう。ピアスならおしゃれの幅も広がるし18金のダイヤモンドなピアスをつけた金持ちな大人になりたかったのだ。
思いついたら即実行、さっそく都内の病院を予約した。緊急事態宣言中であるがこれは緊急事態である。嘘、免許更新のついでにローブとか皿とか羊毛フェルトとか色々必需品も買って帰るのでそのついでである。実は免許更新が緊急要件でピアスあけはついでだ。
当日、いい歳した大人がガクガクブル震えながら「痛くないですか？」と看護師さんに聞いていた。美容系の施術をメインとしている病院のため看護師さんたちは大変美しかった。腕とか掴めば指同士がつくんじゃないの？って思うくらい細かった。
それ以上に、病院の室内がむちゃくちゃ綺麗で、抱えていた不安が収まるようだった。
つけたいファーストピアスを選んで耳に印をいれてついにバチン！とピアスを開けた。
痛え！
なんだよ！Twitterの人たちは痛くないって言ったけど嘘じゃないかあ！痛いじゃん！
注射針を普通に刺したような痛みだ。時間を置いてじんじんしてくる。それを両耳ぶん。麻酔をすれば痛くないと思うだろうけど麻酔を指す痛みと同じくらいの痛みだからあんま変わらん。
茉莉花という少女がピアスを開ける話が昔教科書に載ってて、痛みもなく終わったって言うけどあれは嘘だ。痛いもんは痛い。
数分するとなんか痛みはおさまってきた。外はとてむ寒くなんと雪が降っていた！その冷気でさらに痛みは消えていった。もしかしたら茉莉花が痛くなかったのは事前に氷で冷やしていたからかもしれない。
両耳には青く輝くピアスが収まっている。憧れのピアス…！
その後帰宅してから見てもピアスから出血することも赤らむこともなかった。二日はじんじんした鈍い痛みがあったが三日すると痛みはなくなり一週間すると全く気にならなくなった。
ヘッドフォンなどで耳を押さえつけてるとピアスが皮膚に押し付けられて痛いが私の頭が小さいためどのヘッドフォンを使っても下まで沈むせいだ。耳当ての部分がちょうどピアスを開けた部分まで沈むのだ。
最初のうちは服や枕やタオルに盛大にピアスを引っ掛けたりしたが出血することもなく、痛むこともない。ピアスが生活の一部になると言うのはこう言うことなのだろう。
とある小説で、いじめられている息子をもつ父親がナイフを持つことで「自分はナイフを持っているんだ」という気持ちになり、お守りのような役目を果たしているという話があったらしい。Twitterで回ってきた漫画にあった。(内容はいじめの描写がエグく結構トラウマを抉るような内容らしくよんでいない)
私にとってのナイフがこのピアスなのだ。私はピアスをしているんだぞ！ちょっとワルになったんだぞ！と言う謎の自信がお守りになっている。(認識が古い)
しかしこのファーストピアス、6爪タイプなので爪にタオルやら枕やらすごく引っかかるぞ。
