その日、ゴリアテは南の地帯を探索すべく、南へ南へと下っていた。
すると……
啜り泣きの半島
なんという不吉な名前……
そんな不安になる土地に居たのがこの可愛いオニャノコ、イレーナたん!!
キャーーイレーナたーん!
このイレーナたんはモーン城の将軍の娘であり、兵士たちが反乱を起こし護衛とともに逃げ延びたらしい。しかし護衛の兵士たちはみんな死んでしまいイレーナただ一人が残されたようだ。
周辺にもイレーナの護衛をつとめてたであろう兵士たちの死体が散乱していた。
イレーナは父にはやはり生き延びてほしいと願いゴリアテに父への手紙を渡す。
手紙の中身を呼んでやろうと見てみたら上質な絹のハンカチに血で言伝がしたためられており、見て面白いものではなかった。
現代では男女の離婚率は3人に1人がすると言われるくらい高い物であり親権のほとんどは母親が獲得する。こういった事情ではこのような父子ストーリーへの共感は少ないかもしれない。
日本では母性信仰などもあり母と子のストーリーが多いが洋ゲーではBeholderや2Dark、また映画などでも父が子供のために奮闘するストーリーを多数見る。だが邦画をいくら見ようと父子愛をテーマにした作品は殆どみない。これはやはり国によって文化が違うからだろうか?
ゴリアテは近代稀に見る授業参観も運動会も卒業式も母親は来ないが父親が来るという奇特な家庭だったのでイレーナの気持ちがよく分かるのだ。イレーナの思いをパパへと伝えるべくモーン砦へと向かった。
ぼく「パパーー!!なんて酷い姿に……」
リスナー「それパパちゃう」
紆余曲折をへてイレーナの父親であるエドガーの元に。
イレーナの手紙を渡したけどこの砦にある宝剣を異形達に渡すわけにはいかないらしく退却はできないみたい。将軍としての使命を果たさねばと言っていた。
それって僕が今持ってるこの剣??
伝説の武器と書かれているのでおそらくこれが彼の言う宝剣なのだろう。でもその割には説明文が物騒である。無数の嘆きと怒りを背負った復讐の剣って……。
とりあえずパパに手紙を渡すことができたので一度イレーナの元へ戻ることにしたゴリアテ。
すると……
イレーナ……
イレーナアアアアアアアァァァッ!!!
よく考えりゃ当たり前だ。護衛の騎士たちは全員死んで残されたのはイレーナだけ。まわりは異形やオオカミがうろうろしている。生き残れるわけがないのだ。
再びモーン砦に戻るゴリアテ
ワイ「パパ、お前の娘死んでたで」
リスナーA「何も言うな」
リスナーB「いわんであげて」
リスナーN「真実は闇の中で」
人の心がわからないゴリアテ。真実を話そうとするゴリアテを必死で止めるリスナー。
とにもかくにも伝説の剣をゴリアテが取り返したのでエドガーは娘を迎えに行くことに。一抹の不安とともにイレーナの死体へと追いかけてみると……
うわあああああああああああ……
やっぱりこうなってしまったか……
娘が死んだことを嘆き悲しむと同時に娘を殺した奴を殺してやる、復讐してやると、項垂れるエドガー……
これが母親とか日本のドラマとかだったら娘を追って自分も死ぬってなりがちだけど洋ゲーとか海外の映画だと復讐に燃える。
エドガーはやり切れないのだ。本来なら職務を捨て娘の元にすぐ駆けつければ死ななくて済んだかもしれない。その後悔があまりにも辛く耐えがたいから、誰かを殺さずにはいられない。
だが殺したところでエドガーの後悔がなくなることはないし、結局のところ復讐はエドガーの自己本位な思いでしかないのだ。だから復讐はどんな作品でも最後は悲劇を迎えてしまう。
エドガー、娘の願いは何だったかを思い出してほしい。
最後に娘は、お父さんには生きていてほしいと願っていた。父が生き延びることが娘の願いなのではないか?
そもそも護衛の兵士がすべて死んでしまった時点で娘の運命は遅かれ早かれ決まっていたのだ。死期を悟った娘の最後の願いが「父が生きていてくれること」だったのだ。
彼女は「父が生きて帰ってきて」くれることを願ったわけではない。「父が生き残って」くれることを願ったのだ。
だがそんなことをいくら語ってもエドガーはもうやり切れないのだろう。
娘のために復讐をしなければやり切れない父の身勝手も、父が生きてくれることを願う娘の気持ちも、どちらも紛れもない愛なのだ。
復讐の果てにどんな未来が待ち構えているのか。彼等の顛末を見届けたい。