A WONDERFUL DAY FOR FISHINGとは直訳すると釣りの為の素晴らしい一日。不気味ゲーが三度の飯より好きなくらい中毒となっている私にとって魅力的なゲームだったので早速プレイしてみることにした。ネタバレあり。
繰り返される釣り、中央にたたずむおっさん、どこか奇妙な魚、形状的に存在するはずのない魚、得体のしれない物…。釣れるものは奇妙な物ばかり。染まる赤い海。最初から最後まで分からないゲームだが、可能な限り考察をしていきたいと思う。
A WONDERFUL DAY FOR FISHING概要
An experimental horror game I made in a weekend, exploring isolation, the uncanny valley, and repetition as core concepts. You play as a lonely man out at sea for a lovely day of fishing. A mood piece.
ダウンロード先:A Wonderful Day of Fishing by nicklives
ダウンロードページにはとある週末、実験的にホラーゲームを作ってみたと書かれてある。孤独・繰り返しそういったものをコンセプトにしているらしい。プレイヤーは一人の孤独な男となって海で素敵な釣りを楽しむ事ができるとかなんとか。
不気味で不親切なゲーム本体に比べ、サイト自体は親切でいたって丁寧。そのためウイルスや悪質ソフトの抱き合わせなどの心配もない安心。
しかも作った人もゲーム内のおっさんみたいな不気味な感じじゃなくスマートでダンディ。しかも既婚男性。ツイッタ―まである。
Nick Lives (@SlickNickLives) | Twitter
ゲーム内で釣れる魚(日本語訳付き)
まともな魚もあるけど形状的にありえない向きを向いていたり、ほとんどが変な魚ばかり。英文もスラング的な物が多いので余計に気持ち悪い。可能な限り日本語訳してみたがあっているか不明。
SAND TROUT |
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It flops playfully my hands. |
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SAND TROUT(奇形) |
The figure in its mouth scratches,trying to escape. |
謎のマス。後半になると口の中から何かが出ようとしている。ゲーム内でも「ナニか」というような抽象的な言葉で説明されている。 サンドトラウトというのは愛称で本当はCynoscion Arenariusというらしい。サンドシートラウトともいうらしい。海にいるマスみたいな感じだろうか?調べてみてもあまり詳しい情報はなかった。この魚をたべると釣り人の口が大きくゆがむことがある。あくまでもランダムだが。 |
BAIT WORM |
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Fish got away,but the worm's still alive. A living remnant of my failure. |
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釣り用のエサ。虫が釣れたわけではなく普通に魚に逃げられたか釣れなかったので虫だけが釣り針に残っている。 |
RED SNAPPER(鯛) |
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Its red scales shimmer in the sunlight. Its red scales assault the eyes. |
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Its head whispers to me. |
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鯛。途中からなぜか首がすっぽりとなくなっている。そもそもなんで頭が無いのにつれたのか謎。もしかしたらプレイヤーが選択する前に釣り人が食べてしまったのかもしれない。説明文もそんな感じだし。となるとこの釣り人には「意志」がありプレイヤーの言うことに従わないということになる。または、釣り人は別の何かに操られており、他人の意思によって頭を食した可能性もある。頭が囁くという文面からもその可能性がある。地味に怖い。 |
GULF FLOUNDER(ヒラメ) |
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Small fish in a big pond. It's out of its element. |
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In its pearly eyes I see its future demise. |
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普通の魚のように見えるが明らかにおかしい。 ※画像はWikiより 写真を見ると分かるが右向きのヒラメはありえない。構造的におかしい。だがこのゲームのヒラメはなぜか右を向いている。そのためゲーム内の説明文でもヒラメという郡から外れているヒラメだと指摘されている。 |
SALTWATER BASS(スズキ) |
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A disgusting piece of living waste. 気分の悪い殺したくなる生き物(なんか直接的な英語というよりかはスラングっぽい) |
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I feel the tar inside me.私の中にタールを感じる。(タールは道路の塗装などに使用する石炭・木炭などから作られた黒い粘液、またはヤニ。ヘドロのようなもの) |
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通常時の説明文ではなんかむっちゃ罵倒してる。wasteは本来ゴミとかそんな感じだけど、スラングとしてもよく使われる。死ねとかクソ!とかそんな感じ。 バス系はもともと害獣らしく生態系を荒らすらしい。合衆国でも政府がバスフィッシングの人気上昇に伴いバスを大量に放流しそれが生態系を荒らして迷惑しているとか。恐らくそこからこの憎悪の一文が出たのかもしれない。あとスズキ自体嫌になるくらい釣れるのでそういった面からも嫌われてるとか何とか。 |
CATFISH(なまずん) |
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Its whiskers poke and pry at my skin. |
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The larvae writhes, beckoning for my flesh. |
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なまずん。髭が刺さるらしい。後半では何かに寄生されている状態で釣れる。 |
WATER BUG |
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Its fangs sink into my flesh. I feel awakened. その牙が私の肉に沈み、私は目覚めた。 |
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水生昆虫。実在する蟲の名前なのだが形状があきらかにそれと違う。本来ゴキブリの水生昆虫みたいな感じのはずだが外見が明らかにソレじゃない。現実世界にいる昆虫よりもクトゥルーのミ=ゴのような外見。
ちなみにWATER BUGをたべると雨が降ってくる。 |
FLESH CUBE(肉の塊) |
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It pulsates. It wants to become a part of me. それは脈打っている。それは私の一部になることを望んでいる。 |
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本作の核心。赤い肉の塊。FLESHは肉的な意味があり、FRESHは綴りが違うので「新鮮な肉」という意味ではない。だとすると英文は「どこか魅惑的な謎の肉」のようなニュアンス?もしかしたら人肉を意味しているのかもしれない。 FLESHは肉。新鮮はFRESHなので綴りが違う。新鮮な肉ではない。 この肉を食べると船が沈み、リリースすると海が赤くなる。因みに船が沈んでからこの肉を捨てるとまた釣り人が戻ってくる。 |
A WONDERFUL DAY FOR FISHING 考察
魚の説明文のひとつひとつを見ると色々と発見がある。ただどの選択肢をとっても肉の塊以外結末は同じ。説明文を見てからゲームをプレイしたら何か変化があるかと思ったが、英文を理解できる海外の実況者たちが何十分もゲームをプレイしても結末は変わらないので、恐らく条件分岐と言ったものはほとんどないのだろう。
ついでにゲームを10分放置したり、釣り人をひたすらクリックしまくったり、魚が連れてから釣竿を放置し続けても全く変化はなかった。
考察1 釣り人が異界に引きずり込まれた
ゲーム中肉の塊を食べると釣り人が異界に引きずりこまれる変化が現れる。肉の塊の説明文はどこか魅惑的で、「私の一部になることを待っていた」というような表現がされている。人の肉を食したことで、人の世界にいられなくなり、異界に引きずり込まれてしまった…?
血の海は異界であり、釣り人は異界にいるということを意味しているのかもしれない。
因みに海にリリースすると血の海になる。沈んだ状態で肉の塊をリリースすると釣り人はいつもどおり中央にいる。リリースしてしまえば海は真っ赤になるのでその逆は無い。赤い海に釣り人は佇むが、「普通の海に釣り人が戻ってくる」ということは絶対におこらない。
……でもあまり考察するとおかしな方向にいくからやめたほうが良いと同居人に指摘されたためこのあたりでこの説は留めておく
考察2 クトゥルフ的なものが海の底にいる
ゲーム中で釣れる魚はどこかおかしな魚ばかり。右を向いている形状的に有り得ないヒラメや寄生されたなまずん。タールを塗りこまれたスズキに頭がなくどうやって釣ったのか分からない鯛。魚の口から出ようとしている何か。
クトゥルー的なナニかが海の底にいて、釣り人はそれに引きずり込まれてしまった説。途中で出てくる水生生物がどう見ても本来の姿とはかけ離れており、どちらかというとクトゥルー的な見た目に近いのでありかもしれない。そもそも海とクトゥルーって根底が同じだし。