季節は冬、一年で最も長い連休がすぐそこまで近づいていた。
父親のスマホにパズドラをインストールしてからすでに一年が経っていた。
連休中は実家へ戻るのが私の恒例だ。
一年で最後の昼休み、私は冬の寒さが支配する外の世界へと移動した。
染みるような冷たい世界で私は一息つくためタバコを一本取り出す。
ライターでタバコに点火する。カチリと小気味の良い音が響いた。
煙を吐き出す。冷たく透明な空気をタバコの灰色の煙が汚していく。
「ふぅ…美味い」
私は無意識に呟いた。タバコの苦い香りが私の疲労を癒して行った。嘘です。たばこすえません。
上司みたいにたばこはすえないしやることがないのでお母さんにに電話しました。
母親は「お父さんがパズドラをできなくて困ってるの、治してあげて」といいました。
母親との通話を切るとすぐに父親から電話がありました。パズドラ、パズドラと何やらうるさく言っていました。
訳が分からないですが、パズドラがアップデートされた影響で父親のスマホでは起動できなくなったそうです。私なら治せるだろうと父はうるさく騒いでいたようです。
会社を終えてすぐに実家の最寄駅へ向かうと、父親が待っていてスマホを押し付けてきました。その間もパズドラパズドラうるさかったです。
私は慣れないアンドロイドを操作し、何度もエラーを吐きながらなんとかパズドラを起動できるようにしました。父親は喜びました。金を請求しましたが拒まれました。
それから連休中はパズドラの音が鳴り続けました。
いい加減、マナーモードを覚えろ。外出先まで音を鳴らしてパズドラするなと私は怒りました。めでたし。めでたし。