ゴリアテ | アニメ・ゲームブログ

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犬を譲渡したガクトとまわりの反応を見て思ったこと

news.yahoo.co.jp

 

坂上忍のバイキングでガクトがペットロスの夫妻に犬をプレゼントした話が取り上げられた。この話はyoutubeでアップされ話題を呼んだけど、けしていい意味で話題になったわけじゃなかった。

 

ガクトが売られたケンカは買うって言ってたから、カラスがカァ!と鳴けば吹き飛ぶ、そんな存在の自分が、記事を書くのは怖かったし一流芸能人がエゴサさなんかしないと思ってたけど、この感じだとしてんのかな怖いな、と思いつつみんな犬を飼うことを軽く見過ぎな感じがしたので、犬を飼うことがどういうことかを知ってもらうためにも書こうかな、と思った。

 

 

概要

youtubeのタイトルは「GACKTが愛犬を里子に出しました。」で5か月飼育した犬をペットロスの夫妻にあげるという趣旨だった。

普通に見るとアホか?と思うような内容。犬嫌いの友人に「他人に渡す目的で五か月飼育してから譲渡するってどう思う?」って聞いても「……犬がかわいそう」って言ったくらいだから多分その感覚は間違ってないはず。

 

自分も動画だけ見たときは「ありえない」と思った。炎上してしばらくたつとまた別の情報が流れてきた。

動画ではサプライズ風に編集してあるけど、事前に引き渡すつもりで犬を飼ってたらしく夫妻とも相談していたらしい。

 

でも自分はそういった事前情報があったとしても5か月も飼育した犬を、ペットロスだからって理由で譲渡しちゃうのはどうかと思った。どうみても、一番かわいい小犬の頃だけ楽しんで、飽きたから夫妻に譲ったようにしか見えなかったから。

 

子犬の時は可愛いが半年たつと大変になる

生後半年くらいの犬って一番めんどくさい時期でとにかく吠えるし、歯が生え変わってかゆがるから家のあらゆるものを噛んでボロボロにしてしまう。これはしつけとか関係なく、歯がかゆくして仕方ないから。

 

骨をあげてもやっぱりかゆくて家具をボロボロにしちゃう。だって犬にとっては家具の方が噛みやすい。このころは反抗期もあったりするから、とにかくワガママで言うことを聞かない。

ガクトが飼って5か月たったという話だから、年齢的には6か月~1歳くらいかなと思う。一番めんどくさい時だ。

 

そういう犬の習性を知っていると、可愛いときだけ楽しんでめんどくさくなってから譲渡したのかな?と思う。実際同様の理由で捨てられる犬は多くいる。

 

犬の5か月と人間の5か月は違う

5か月って人間からしてみればあっという間だけど、犬や猫にとってはそうじゃない。動物を飼う人間にとって寿命問題というのは避けることのできない宿命だ。人間と動物では流れている時間が違うと、いつも感じる。

 

だからペットとして迎える動物とは少しでも長く一緒に居たいと思う。そう思うのは人間にとっては5か月でも犬にとってはその4倍ほど差があるから。5か月という時間は犬にとってはとても長いんじゃないかと思う。

 

猫と犬は根本的に習性が違う。犬にとって、そんな長い月日を共にした飼い主と引き離されるということは群れを追放されたのと等しい。群れ社会の犬にとって追放というのはとても辛い。群れからの追放は犬にとっては死を意味する。

 

これは災害時のペット問題で公開されたコラムとか、テレビで放送されていた特集や、犬を飼うときに購入した飼育本を読んだ内容だけど、自分が生活を過ごした家から引き離された犬は「自分が捨てられた」と感じてしまうとあった。

 

一度人間に裏切られた犬を世話するというのは並大抵のことじゃない。犬を飼うときに保護犬も検討していて何匹かと面会したけど、一度裏切られた犬はなかなか人間を信頼してくれないと言う。

 

だから今回ガクトは犬を調教するために飼ってたていう情報も流れてるけど、そうだとしても話がちぐはぐだと思う。

そもそも犬のしつけは譲渡先の飼い主がやるべきだし、ガクトが犬を調教してもその後の飼い主がちゃんと犬の性格を理解してしつけを継続しなければ意味がない。しつけ教室に犬をやったけど、教室の言うことは聞くけど飼い主の言うことは聞かないというのはよくある話だ。犬のしつけは根気が必要なのだ。

 

亀や虫の譲渡だったら文句言わないんでしょ!?

よく亀や虫だったら文句いわないんでしょって言う人いるけど、犬の話をしているのにいきなり亀や虫が出てくるのがおかしい。そもそも犬は亀でも虫でもない。動物ってその動物ごとの習性があるから人がそれを理解してあわせ飼育環境を用意しなければいけない。

 

犬は群れ社会で生きる動物だから、群れから追放されるということは死を意味する。そして非常に古い時代から人間と生活を共にしてきた動物の一つだ。

だから今回のやり方がダメだって言ってるだけ。亀だって虫だって鳥だって魚だってそれぞれ育て方があるからちゃんとした知識と環境がない人への譲渡はできない。

 

海外で密漁されたりケガをしたりした動物を保護している施設があるが、飼育方法を間違ってしまうとたくさんの動物が死んでしまうことがある。だからそれぞれの動物の習性を理解し適切な環境を用意することはとても重要なのだ。

相手がオオカミならその習性に合わせたコミュニケーションを取ったりするし、群れ社会で生きる動物の場合はその概念を重視する。

 

自宅で猫を飼ってて鳥の飼育経験がない人の家に鳥を譲渡しますなんて動画が出てきたら批判がくるだろう。

 

 

ボロボロになる家具、反抗期、犬の介護、とても大変

昔、7歳くらいの頃、犬を飼ったことがあった。両親が飼ったのはポメラニアンという小型犬だった。初めて飼い始めた犬はとにかくそれはもうワガママだった。

 

いくら言っても言うことは聞かない、とにかくキャンキャン吠えまくって外にまで響く、家の家具をガリガリ噛んでボロボロにしてしまう、噛みつく、ゴミ袋からゴミを取り出して食べようとする。ダメと叱っても聞かない。本の知識をもとに、しつけを試みた。小型犬の目線に合わせる。ベロン!と舐められた。

 

キャンキャン吠えるのはしつけができてないからでなく、小型犬は体が小さくすぐ死んでしまうため、異常があったら群れに伝えて自分を守ろうとする生存方法だからだ。吠えるなと小型犬に言うのは死ね!って言うのと同じなのだ。

 

家の家具をボロボロにするのは、小犬から成犬になる過程で歯が生え変わり歯がかゆくてかゆくして仕方がないから。

 

よくみんな気軽に保護犬を飼えって簡単に言うけど実際はすごく難しいし大変。

犬は吠えるし家もボロボロにする、猫と違って散歩が必要だし、万が一中型・大型犬で人を噛んだりでもすれば保健所行きだ。

 

そうして頑張ってしつけても老犬になるとボケが入ってくる。犬が痴ほう症になると夜泣きしたり徘徊したりお漏らしをする。人間と同様に介護が必要になってくるのだ。小型犬なら楽だけどこれが中型・大型犬だとむちゃくちゃ大変。散歩するたびに抱っこして抱えなきゃいけない。大型犬だと10キロ、30キロはある。

 

私の犬も老犬になると散歩しても数メートルしか歩けないので、抱っこして遠くまで散歩し、帰りは抱っこして持ち帰っていた。だから私は保護犬を飼いましょう…とは言えない。

 

それでも犬を飼い続けて、他人に譲渡しようと思わないのは犬を飼う前に責任というものを持っているからだ。犬を飼い始めた時点で犬が死ぬまで一生を共にしようと思っている。犬を捨てることは法律で禁止されている。それは子犬を軽率に買って、大変だからという理由で捨ててしまう人があまりにも多いから。

だから法律で禁止するしかない。それに犬を捨てるってとても残酷なことだ。

 

十数年前は犬を捨てる人がとても多かった

今では考えられないけど、十数年前くらいは犬を捨てる人がとても多くて、遠く離れた土地で飼い主の姿をずっと待っている犬がよく放送されていた。

今と比べて平成初期の時代は動物の価値がとても低かった。保健所に連れてったり捨てる人がとても多かった。

 

捨てられた犬の取材はあまりにも残酷で見ていられなかった。人の気配がして犬が隠れる。車のエンジン音が近づくと飼い主が戻ってきたと思ってタッタと駆け出してくる。だけど飼い主じゃない。首を垂らして戻っていく。犬は妊娠している…。もう見ていられない…。

 

だからそういった背景を知っていると5か月も飼育したその犬をペットロスから立ち直らせるために他人に譲渡させるその行動は善意を売りにするにはつじつまが合わない。

相手はペットロスから立ち直ったかもしれないけど、犬は飼い主ロスになるんじゃないの?

 

真似する人が出てきたら地獄

それにガクトが今回の動画を美談にすれば、それを何とも思わない人は「自分も」と思って他人に譲渡する前提で子犬を買おうと思うかもしれない。

 

でもそこで貰い手がなかったら飼育が大変な犬だけが残されることになる。彼らはその犬を最後まで飼うだろうか。

そんなことする奴いない、と思うかもしれないけど影響力が強い人がやると真似する人はでてくる。youtuberとか特にどんな手を使ってでも再生数が欲しい人が多い。

 

ガクトの真似をして、最初から譲渡する目的でペットを飼い、ペットが大人になったら譲渡しようと考える人はでてくる。動物が一番可愛いころにカメラに映せるメリットもある。人の欲には底がないから金のためであればなんだってできる人もいる。

 

あの動画はガクトの愛犬をもらえるなんてすごい!ということを言いたかった

多分、あの動画の趣旨は一流芸能人の愛犬をプレゼントされてペットロス回復ってことをしたかったんだろうなと思う。

だから犬がギリギリ子犬でいられる5か月間くらいはガクトが飼育させる必要があった。買ったばかりの子犬をあげるんじゃインパクトがないから、飼育された下積み経験が必要だったんだと思う。

 

ただあまりにも人間の視点で見過ぎていて犬からの視点が欠けていたように思う。犬を飼育するのであれば、犬の性格や感情や過去の経験を知らなければいけない。他人から譲渡されるのであればワクチンを接種しているかとか、誕生日はいつとか、どこのペットショップで買ったとか、持病はあるかとか、アレルギーの有無とか、保護犬ならどんな家に住んでいたのかとか、犬のことをよく知らないと良好な関係は築けない。

 

ペットロスで心を痛めるほどの博愛精神を持つ人が対象なら猶更必要なことだろう。そんな人が群れから引き離された犬を、自分の都合で受け取るなんてことはできないだろうから。

 

だから本気でペットロスから立ち直らせ人を幸せにしたいなら、犬にとっても最良の方法をえらぶべきだったのだ。人が愛情を持ち犬も人を信頼して愛情を享受し群れをつくる。

それに至るまでに必要なやり方が欠けていて人間本意になってしまったから不愉快な動画になってしまったのかなと思う。