かねてから興味を持っていたスーパーファミコンの少女育成ゲーム「プリンセスメーカー」というゲームで育児にチャレンジしてみたいと思います。
このゲームは悪との戦いで疲弊した勇者が、天から少女を授かりその少女を一人前のプリンセスに育ていると言うロリコン用子育てゲームです。本当に自分の娘を育てるくらいの心構えでプレイしたいと思います。ガンバルぞ!
プリンセスメーカーはまず生まれてきた娘に名前をつけるところから始めます。うーーーん、自分の娘に名前をつけると思うと物凄く悩みます。名前は一生ものですから…。まず和名にするか洋名にするか悩む。日本なら和名がいいだろうけど、この世界は中世だしなあ。その中間を取る感じで名前をつけよう。
候補1:自分の名前を捻った名前「ジェシカ」や「ミシャ」
なんか自分の願望や夢を娘に押し付けそうで嫌だなあ。娘は自分の願望器ではないし娘らしい人生を送ってほしいからこれはナシ!
候補2:娘の将来像や性格を願う系の名前「ユウ」
うーんそれもなんか微妙。だって元気で活発な子になってほしいから「陽子」と付けたとしてその子が内気で思慮深い子になったらその子は望んだとおりに育っていないって子になるわけで…。たとえば優しい子になってほしいと「優」と名付けても娘がそうなりたいって思わないと意味がない気がする。将来どんな子になったとしても自分の娘は娘だと思うからこういう願望をつけるのもナシ!
候補3:偉人の名前「マリア」
悪くはないと思うけど、自分の子は自然体のままで受け入れたいと思うのでキャラクターがつきそうな名前もナシ!
最終的に名前はエルに決まりました。語感が良くて覚えやすく印象もいいです。どんな将来であっても受け入れたいので願望とか意味が強く含まれていないこの淡々とした感じが好き。
なんと誕生日まで自分で決める事が出来るようです。世間では保育園に入園する事の難しさや早生まれ特有のデメリットなどで2月生まれと3月生まれが極端に嫌われる傾向があります。なんか早生まれは運動能力や勉強能力が1年遅れているのでレギュラーなどになりにくく褒められにくいので才能が伸びにくいから不利だと言う理論らしいです。
私はあえて3月31日生まれのB型にしました。どんな月日に生まれようがうちの娘は娘です。どんな環境でもどんな生まれでもどうなったかではなく、どのように生きたかを大事にしたい。A型だとかB型だとかそんな理由で娘を判断したくなかったからです。
わが娘との始めての対面!か・・・かわいいいいっ!!
この可愛いわが子を一生懸命育てるぞ!!お父さんガンバル!!
娘は10才になりましたのでこれからはアルバイトや家庭教師などによって社会経験を積ませる必要があるとのこと。将来を決める大事なことですね。
早速、娘とお話してみましょう。今後の教育の事もありますしまずは勉強の事について聞いてみる事にします。
なんと笑顔で戦いについて語り始めました!なんと末恐ろしい子なのでしょう。戦いについて興味がありそうなので武者修行に出すのも一考かもしれません。
しかしさすがにその身一つで武者修行に出すのは心配なので街に行って娘の洋服を買う事にしました。まずこれから必需品になる冬服と娘が怪我をしない様に簡易的な鎧を買って装備させました。
スケジュールは第一週を武者修行にし、二週目は料理屋でアルバイトをさせることに。
最期の週はお休みです。武者修行では近場の草原に行かせました。比較的安全なので大丈夫でしょう。
おや?途中で旅人に遭遇しました。友好的な様子です。とりあえずお金をおねだりしてみます。
エル「お金がないのです。恵んでください」
旅人「金をせがむような厚かましい奴に罰をあたえる!」
!!?
なんと戦闘になってしまいました!途中まで善戦するも旅人は予想以上に強く負けてしまいました。しかも執事に「助けに行く者の労力も少しは考えて欲しいですね」と嫌味を言われる始末。
ごめんね!エル!こんな事になるなら武者修行になんて出さなければよかった!お父さんもうエルを一人にしたりなんかしない!もう二度とこんな目にあわすものか!!
エルに対しての罪悪感とすさまじい反省を抱えつつ娘と話すと何やら元気そう。良かった。もう二度と武者修行なんてさせません。うちの子には向いてないんです。娘には気品と知性と人脈を持ってほしい。
ということで、お城へと赴きました。まずはほんの一歩で良いです。お城の門番とお話しすることから始めましょう。
5月のスケジュールは農家と服屋のアルバイトにしました。とりあえずは色んな事を娘にさせてみて、その中から向いてそうなものを見つけて行きたいです。
農家のアルバイトです。どうやらしっかり働く事ができたようですね。お金も予想以上にもらえましたが、気品がなくなっているようです。確かに報酬は高いことに損はありませんが、気品を失ってしまうのは父親としては心苦しいのでこのアルバイトは控える事にします。
仕立て屋でのアルバイトは上手くいかなかったようです。失敗は仕方ありません。仕事ですから最初から上手くいくなんて事はありません。ただ、気品や感受性や話術など多くの事を学んでいるようです。報酬の少ないアルバイトですが娘の教育になるのであれば一考の余地があるでしょう。難易度も高くない為、最初は失敗するかもしれませんがすぐになれると思います。
その後、娘と話をしてみました。どうやら掃除や洗濯などの家事が嫌いなようです。確かに私もあまり好きではありません。ただ何もやらないうちに嫌いだと決めつけるのも良くないので料理屋でアルバイトさせたり家で手伝いなどをさせて、家事というものを経験させてみる事にします。
もちろん、最初は上手くいきません。怒られてしまいました…。ゴメンネ!これも社会勉強の一つで避けては通れない道なんです。今だけ我慢してネ!
家では執事の家事を手伝ってもらいました。報酬はもちろんありませんが感受性が落ちて行くので悪くありません。この感受性が上がり過ぎると後に大変な事態を引き起こします…。
その後、料理屋で2周連続でアルバイトを経験させました。礼儀作法とか勉強とかもっと教育に力を入れたいのですが何せ貧乏な為、家庭教師を雇う事が出来ません。トホホ。
そういえばこの中世の時代って教育は金持ちの特権だったようですね。とりあえず手に職をつけて高い報酬を得る事が出来る料理屋で料理のスキルを磨いてもらう事にします。もっと将来の為になる事を覚えさせたいけど、いまできるのがこれで精いっぱい。私の心は罪悪感でいっぱいです。大事な娘に料理しか教えられないなんて…。
せめてアルバイトで疲弊した娘におこづかいだけでも与えます。これで少しでも娘の心が豊かになるなら……!
そんな生活を送っているうちに料理屋のアルバイトも慣れてきたようです。娘が笑顔になってくれてよかった!
と、料理を頑張っている娘に突然の来訪者です。なんと台所の精「シルフィーヌ」が訪れました。
どうやら料理を頑張っている娘の顔を見に来たようです。よかったねエル!エルが頑張ってる姿をちゃんと見てくれてる人もいるんだよ!
「えー?みてるのぉ?たまにはサボりたーい」って、そうだよね。家事だって大変だもんね。たまには手を抜いてもいいんだよ。何時も頑張ってるんだから。
そして突然お母さんがどんな人だったのか気になりだすエル。そうだよね。気になるよね。10才だもん。でもきっと、エルが可愛いから美人だったんじゃないかなあ。エルは素直でいい子だからきっと心の優しい気品のあるお母さんだったんだよ。
などと馬鹿な事ばかり言っている父親を尻目に収穫祭が訪れました。
収穫祭では様々なコンテストが開催され、参加する事が出来ます。
エルは料理の腕があるからお料理コンクールに出そう!頑張れ!エル。
一生懸命、お料理するエルも可愛い。きっと優勝間違いなしだ!
20点…?味の分からない審査員どもめ!エル!気にすることないぞ!誰が見てもエルの料理が一番だ!
コンクールの事は一旦忘れて、気を取り直す為に礼儀作法の教育を受けさせます。お父さんも一年に一度の報酬が入りましたのでこれでやっと娘に教育を与える事が出来ます。立場の偉い人にもちゃんと作法が守れるように礼節と品位を身につけさせたい。
お金が少し余ったので舞踊の授業も受けさせます。舞踊の授業は授業料こそ高いものの体力と色気と芸術など様々な能力が上がります。教育で娘には不自由させたくありません。色んな事を学んでほしい。それに今まで料理や礼節など運動とは少し離れたものだったので、体を動かす事も大事でしょう。
そんなこんなで季節は冬を迎えました。この格好では寒そうなので買っておいた冬服に着替えさせます。
か・・・・か・・・かわいいいいいいい!!!!
なんて可愛いんだろう!やっぱりプリティでラブリーな自慢の娘です!!冬服買っておいてよかった!!
しかしそんなかわいい娘の将来を考えるあまりハードなレッスンとアルバイトを繰り返していると娘の心に影が差してきたようです。ちなみに教育にお金をかけ過ぎてすっからかんになりました。
娘におこづかいを与えたいけど、貧乏なのでおこづかいすらあげられません。娘に豊かな生活を与えられなくて申し訳ない…。
ふと、部屋の中を見渡すとエルの姿が忽然と消えていました。まさか誘拐!!!?
執事のセバスチャン(違う)によるとどうやら家出してしまったようです。そんな…私があまりにも厳しくしすぎたから…。娘のいない1ヵ月が空しく過ぎる父親。今まで娘にしてきた事を反省します。そりゃまともな子供だったお小遣いもほしいし、もっと遊びたいですよね…。そんな子供の気持ちをわかってやれないなんて親として最低だ…私。
娘が帰ってきました!
自分の行動に対して思う所はありますが、とにかく一か月も連絡なしで家を飛び出すなんてあってはならない事です。その点だけは注意しなければいけないので罪悪感を感じつつもお説教をします。
エルは腑に落ちない様子でした。そりゃそうだよね。ごめんね。でも娘の将来の為です。ここは我慢です。
娘が帰ってきてすぐですがスケジュールはきつめに入れました。本当は休息を与えたいけど、家出した直後に休息を与えてしまうとまた繰り返してしまうと考えてあえてこのスケジュールにしました。ですが週の最後にはバカンスを取り入れました。がんばったあとの楽しみはこれ以上ないものですから。それにせっかくですから家族で旅行に出かけるのも悪くないでしょう。
しかしストレスがたまりすぎて慣れた作業すら失敗しているようです。
さすがにこれは反省です。私は自分の事しか考えていませんでした。これからはもっとエルの為のスケジュールを考えて行かなくては…。
バカンスは冬だったので山に行く事にしました。雪が沢山降り積もっているのでスキーなどが楽しめそうです。娘も楽しんでくれればいいのですが…。
ギャーーー!また家出した!!
じつはこれ、エルの非行ではなくてステータス「感受性」によるもの。感受性が高すぎるとこのようにたびたび失踪してしまうのです。とくにアルバイトは感受性が高まる仕立て屋や料理等が多く、それ以外には殆ど報酬の入らない家事手伝いや気品が下がって行く農家のアルバイトしかありません。否応なしに感受性が上がってしまう仕様になっているのです。困ったけどこれも受け入れなければならないのでしょうか。
帰ってきた娘は11歳になっていました。せっかくの娘の誕生日すら失踪したせいで祝うことが出来なかった。父親のふがいなさ、情けなさに愕然とします。このときのためにプレゼントも考えていたのに…。ショック。
せめてものお祝いとして、ケーキを御馳走しました。美味しそうに食べる娘の姿に心が和らぎます。しかしお気づきでしょうか?このお金、娘がアルバイトして稼いできたお金を娘のプレゼントやら食事やらに使っているのです。この父親ふがいなさすぎだろ!
まあしかし時代は中世なのである程度はしかたないのかな。この時代はきっと甘いものも教育費も一人で養えるほど安いものではなかったのでしょうスーパーファミコンの育成ゲームからかつての時代の世知辛さを教えられました。娘も11歳。はたしてこんな教育で娘はプリンセスになれるのでしょうか。一沫の不安を胸に独身貴族の育児は続きます。