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【漫画感想】「普通の人でいいのに」は本当は「特別」になりたかった

comic-days.com「一見普通っぽくてめちゃくちゃ面倒な女」を丁寧に描く漫画『普通の人でいいのに!』が色んな意味でしんどすぎて話題に - Togetter

 

ツイッターとかはてなですごくバズってたこの漫画。ストーリーを端的に言うと、主人公は経理の女性で、音楽とかクリエイティブな人たちが集まるバーみたいなところによく通っています。そこには主人公の憧れのラジオの放送作家の伊藤という男性もよく来ていて、経理の仕事をしてたら縁がないような人との時間を持つことができます。まあ感情に任せて伊藤に告白してしまい玉砕するんだけど。

 

仕方なく会社のつながりで知り合った男性と付き合うんですけど、どうしても憧れていた伊藤と比べてしまいイマイチにしか見えないので内心ネチネチ文句言ってます。

 

実は伊藤は既に彼女がいて、それが主人公の仲のいい女性でした。大阪で展示会やってそのままウラジオストクに旅行とかするタイプの。それをインスタグラムで知ってしまいイライラが募った状態でライブに行っちゃったもんだから、伊藤の婚約者に「じゃあ彼氏交換する?」というかなーり失礼なことを言ってしまい、唯一の憧れの人たちを自分から遠ざけてしまいました。

 

彼女に残ったものは「伊藤が放送作家を務める憧れのラジオに自分のネタを取り上げてもらった」ことがあるという栄光だけ。ラジオに取り上げられた人にはステッカーが届くのですが、彼氏に「いい趣味だね」と言われる。なぜか怒りが大爆発した主人公は彼氏を怒鳴りつけて家から追い出してしまい、さらにそのノリでリア友に八つ当たりをしてウラジオストクまで行ってしまうけどビザがないから追い返されるという小悪党特有のしょーもない落ちで話が終わる。

 

普通でいいと言うけれど実際は特別になりたかった

主人公の行動と心理が全くかみ合わなくてどうして「そんな行動するの」って思ってしまう主人公なんですけど、でも多分これ「特別になりたかった」の一言に尽きるんじゃないかなあって思います。

 

主人公にとってラジオの伊藤さんも、展示会やっちゃうリサさんも「特別」な人。何かしら突出した才能や個性や魅力を持っている人たちです。

 

でも主人公って、そういう人に憧れているのに全く努力しないですよね。ヤマハのピアノ教室にでも行けば多少時間はかかっても音楽は学べるし頑張って練習すれば一年程度でライブの発表会もできるようになるし機会もある。でもそういう努力は一切しないであくまでもサブカルチャーをたしなむ普通の女性であることにこだわってる。

 

伊藤に選ばれることで「特別な女性」になりたかった

この話で主人公の本望はたった一つしかなくて、憧れの素敵で特別な男性である「伊藤」に選ばれたかったんじゃないかと思います。それも努力したり才能を育てて、振り向かせるのではなくて、ありのままの自分を選んでもらう。この「ありのまま」が割と重要で、音楽の造詣がなくても、努力をしなくても、伊藤に選ばれることで自分は何もしなくても特別な人に選ばれた「特別な女性」になることができる。

 

主人公はその「特別」が欲しかったんだと思います。音楽教室に通ってクリエイター側に立つのではなくて、特別な人に何もない自分を選んでもらうことで「特別な自分」になりたかったのではないかと。

 

少女革命ウテナの「若葉」に似てる

 

第20話 若葉繁れる

この話を見ていて少女革命ウテナの若葉となんか似てるなぁーと思いました。少女革命ウテナというアニメは決闘と学園を舞台としたアニメなのですが、当初若葉はモブキャラ程度の価値しかなく見た目も主人公のウテナやアンシーの美貌と比べると普通。剣で戦う力もなく、物語の本質にかかわることが一切ありません。

 

 少女革命ウテナ第20話 若葉繁れる-アニメ(アクション)| 楽天TV

「お前も!その女も!生徒会の連中も!皆私を見下しているんだ!何の苦労もなく、持って生まれた力を誇ってな!だからお前たちは皆平然と…人を踏みつけに出来るんだあっ!!」

 

しかし20話で激変。整った端正な顔は怒りで歪み、モブキャラが抱え持つ呪いのような憎悪を叫びながら決闘に立ちます。

 

そうさせた些細なきっかけは、若葉がずっと憧れていた先輩「西園寺」にありました。西園寺は剣道の名人で学園の人気者。特別な人。若葉では手を伸ばしても届かない。そんな特別な存在。

 

本来ならば接点のない西園寺が追われる身になり、偶然会った若葉は彼を部屋に保護することになります。西園寺をかくまう若葉の日々、それから彼女は「普通」から「特別」になりました。

 

特別な西園寺が自分を頼り、それを保護する、その関係性が若葉を特別にするのです。若葉にとって西園寺は自分を「特別」にしてくれる人物であり、その状況をとても喜びます。…ですが、その特別は長くは続きません。

 

西園寺が好きなのは物語のヒロインである「アンシー」という薔薇の花嫁で、若葉がどんなに手を伸ばしても、彼に尽くしても西園寺が若葉を選ぶことはないのです。それこそ世界を革命する奇跡でもない限り。西園寺が生徒会に復帰すると今までのお礼を郵送で送ると言いだします。結局アンシーに比べたら若葉はただのモブであり、お礼の高価な品物を郵送で届ける程度の関係でしかなかったのです。

 

しかし同時に若葉も西園寺を自信を特別な自分にしてくれるための存在としか見ていませんでした。 バーに通って伊藤やリサさんと関係性を持つことで自分は「特別」だと錯覚していた主人公と共通するものがあります。

 

暴走しても特別になれなかった

主人公が彼氏にラジオの投稿を「いい趣味じゃん」と褒められてブチギレたのは、結局のところ特別でも何でもない普通の人としか見ていなかった彼氏に褒められたことで、見下されたように感じたんじゃないかなと思います。

 

旅行はウラジオストクがいいんじゃない?と提案したり、ライブに行ってみない?とかゴールデン街行ってみない?相席でよくない?と、ことあるごとに言い出したりしてたのも「普通のことしか思いつかないお前と違って、自分はこんな特別な発想を出せるんだ」って誇示したかったのかなと。

 

だのに普通でしかない彼氏に褒められたことで逆に主人公の劣等感を強く刺激してしまった。ぶっちゃけ「いい栄光じゃん」「いい思い出じゃん」「いい勲章じゃん」どの言葉に置き換えても彼女はキレてたと思います。

 

ここで特別な伊藤とかリサさんにブチぎれていればまあ人間ドラマとして彼女の勲章にでもなったんでしょうけどそんな度胸はなさそうだし、ブチギレて怒鳴れる相手はあいにく普通の彼氏に普通の友人。

 

彼女にとってみれば取るに足らない、補充の効くいつ切れてもいいような関係。でも結局主人公にとってみれば「普通」でしかないので八つ当たりにはなっても彼女のプライドを満たすことはできなかったのでしょう。