旅行先の別荘でひょんなことから女友達を殺してしまった主人公。発見された遺体。疑心に包まれたサークルメンバーたち。殺人の罪を隠し通すため主人公は仲間たちの弱みを握りあの手この手を使って口封じするゲーム「犯人は僕です」をご紹介します!
あらすじ
こちらのゲームですがヤンデレなカノジョ達が好き放題する「元カノ(仮)と今カノと僕」や証拠品を集めて徹底的にカノジョを追い詰める「僕のカノジョは浮気なんかしない」の続編に位置するゲームです。
サークルのメンバーたちと合宿で別荘に訪れた主人公。飲み会の途中、夜風にあたるためバルコニーに出た主人公は、同じメンバーの女の子「シラユキ」に主人公の秘密を握られていることを知りました。シラユキがその秘密を口にした瞬間、思わずバルコニーから突き落として殺してしまいます。
秘密を口にしたシラユキを反射的に突き落として殺害。あまりにもあっけなさにポカーンとする方も多いでしょう。普通殺人って綿密なトリックとか巧妙な仕掛けとかそういうのを想像する人が多いので。ただこういった殺し方のほうが現実的で良かったと思います。殺人事件ってこういう感情にまかせてやっちゃったとかそういうのが多いらしいですね。
残された時間は5日間、大雨によって土砂崩れが起き警察の到着に時間がかかっているようです。主人公はメンバーの弱みを握りつつ隠蔽工作をしなければいけません。忙しい。
「犯人は僕です」の感想
感想としてはストーリーとバイオレンスさが精巧に織り込まれた元カノ(仮)とゲーム性や推理を重視しバイオレンスさを抑えた「僕のカノジョ」を上手に盛り込んでいいところをさらに増幅したゲームだなあと思いました。
イラストは前作と比べれば簡易的なシルエットで色と形で登場人物を区別しているだけです。ビジュアルノベルというよりはかまいたちの夜を彷彿とさせるサウンドノベル的ですがゲーム性があり緊張感と面白さ、そして仲間の秘密を暴いていく爽快感がマッチしていてとても楽しめました。
コテージの中を歩き回り証拠品をかき集め相手の弱みを探っていく緊張感はたまりません。いつ自分が犯人であることがバレてしまうかヒヤヒヤしていきます。
一度プレイすると程よい緊張感と次々暴かれていく仲間たちの秘密にどんどんと弾きこまれて行きます。目が離せない面白さがありますね。
主人公が殺人犯である点と、仲間を口封じしていくシステムからバイオレンスさがにじみ出ていますが直接的な流血描写とかはないので怖いのが嫌いな人でも気軽にプレイできます。
ゲーム性もあってとても面白いです。とくに秘密をちらつかせた時の仲間たちの動揺は笑えます。
ゲームの攻略法について
推理ゲームも少し混じっていますが難易度は低めです。とりあえず最初は普通にプレイして、二週目で全ての選択肢で正解をだしていけば真エンドにたどり着く事ができます。
強いて攻略法を言うのであれば、全ての部屋を良く回りフラグを見落とさないこと、でしょうか。意外と見落としがちなフラグが多いので。
個人的にはこのゲーム「ペンライト」や「虫のおもちゃ」や「付け爪」などゲーム中全く使わないアイテムが何個かでてくるので、それら全てのアイテムから推理が成立しそこから真犯人に行き着く、または会議中の選択肢で意味がないと思われたアイテムを選ぶと意外な展開になる、といったような隠し要素が欲しかったところですがそういったものはなかったようです。
上記は結局使わなかったミドリの写真。まあそういうのを入れてしまうとどうしても攻略サイトがないと厳しいくらいの難易度になってしまったと思うのでこれはこれでよかったと思います。シンプルイズザベスト。それにしてもミドリ関係のバッドエンドの気分の悪さは異常だよなあ。
主人公の性格と心理について
基本、主人公は絶対に殺人を認めません。それどころか開き直って徹底的に罪を隠すという行動に出ます。殺人をしておきながら反省もせず、それどころか仲間を裏切り私物を漁ってまで殺人を隠蔽しようとするこの姿勢が人によっては嫌な奴に見えるかもしれません。
ですが、私はこの点については非常に良く出来た心理描写だと思いました。多分誰が犯罪を犯してもこの主人公と同じ心理を持つと思います。
まず犯罪を行って一番に心配するのは「自分が今までどおりの生活を送れるかどうか」です。それが故意による犯罪ではなく、自分のミスによって起こってしまったことならばなおさらでしょう。
犯罪を犯してしまった時点で、もとのような一般人の生活は送れない、であれば徹底的にそれを隠すしかありません。そのことでもう頭がいっぱいになってしまう。
バレたくないつかまりたくない、まだ一般人でいたい。つかまったらどうなる?家族にどんな顔をすればいい?そういった犯罪者の利己的な心理をとても良く描写していると思いました。ただのクズかと思われますけど多分みんなこの主人公と同じ状態になりますよ。逆に言えばそれくらい人を殺すって重いことなのでしょうね。
【ネタバレ】真エンドについて
勘のいい方はお気づきだと思いますが真犯人は実は別にいます。
というか普通に考えて二階か三階程度の高さから落ちて死ぬわけがありません。
世の中10階から落ちてもまだ生きている人がいるんですよ?
というかバルコニー2階だしそこから落ちてもせいぜい骨折する程度でしょう。若くて健康な人間が死ぬわけないだろ、そこに気づけよ主人公。
そしてこの真犯人なのですが、真面目に推理をしていて…なんというのでしょう、犯人を当てた!という爽快感があまりないのです。と、いうのも上述したようにゲーム中の探索イベントにおいて推理の手がかりになりそうなものが余りありません。
当初ゲームが始まったとき、死因があまりにも無理があったのでバルコニーに行けば犯人のきっかけが得られるかと思ったのですがそういうのもありませんでした。普通は犯行現場で手がかりがみつかるものだと思ったのですがそういうのもない。
ゲームの仕様上、出てくるアイテムのほとんどは弱みの証拠となるので真犯人の手がかりや伏線と言ったものが少ない印象にありました。単に私がバカなだけかもしれませんが。ペンライトがそれに当たる部分なのかなあと思いましたが、それで犯人に結び付けるには少々、強引だし弱いですよね。
そしてこのゲームの仕様上、ほとんどの人物が殺されたシラユキに対して殺害動機を持っているため誰が真犯人でもおかしくありません。もしこれが複数の犯人による犯行などであればストーリーは巧妙になっていたでしょうが、その分だけゲームシステムがめんどくさくなりそうなのでこれはこれでよかったと思います。
ただ、このゲームにおいて爪が甘いのは、入手できる証拠品が都合よく落ちている点です。借金の催促状やUSBメモリなど本来ならばそう簡単に入手できないものが簡単に入手できてしまいます。人に知られたくないほどの秘密なのにすこし都合が良すぎるのではないのでしょうか。
そして気になる主人公の秘密、これが火遊びをしていたら一軒全焼させてしまったという子供時代の過ちです。彼が隠していた放火の罪が時効間近でシラユキに知られてしまったのです。
まあ白夜光と同じく、小学生時代の犯罪なのでバレても当然犯罪としては成立しないのですがこういうところの心理も良く出来ています。犯罪とは成立しないとは分かっていても当然隠し通そうとするのが普通の人間です。
だって平穏な日常が掛かっているから。放火をしたことが分かれば犯罪にはならなくても平穏な日常は送れない。まわりから放火魔として指を差されて一生を生きていくことになる。犯罪者にならないように、というよりも、平穏な日常を守るために犯罪を隠すという真理が非常に上手くできていると思いました。
まあそれだけ放火も殺人も罪が重いってことですよね。平気な顔して「罪を償います」、「反省しました」って言ってしまえることのほうが恐ろしいのかもしれません。
【ネタバレ】真エンドの犯人について考察
ネタバレになりますのでこの先は自己責任でお願いいたします。このゲームに出てくる容疑者は5人でそれぞれに殺害動機があります。
カネザワ シラユキに対してストーカー行為を行っていた。キレやすく短絡的なバカ。キョロ充。
ミドリ シラユキに100万の借金を背負っていた。その他にも1000万の借金がありキャバクラで働いている。大人しく素朴な見た目とは裏腹に狡猾で冷血。
アオキ シラユキとスミレで二股をしていた。サークルのリーダーで秀才。リア充オネェ。
スミレ シラユキにアオキをとられているギャル。気が強くガサツな性格。
アカイ 主人公の親友。シラユキに犯罪の現場を見られ脅迫されていた。最終日でダイイングメッセージを提示しクロダを犯人として立証する。
この中で最も容疑が強いのはアカイとミドリ。彼らはいずれも犯罪とお金という強い動機を持っており、ミドリはバッドエンドにて一度主人公を殺害する前科があり、アカイは所持品に業務用のペンライトを持っています。
バッドエンドの前科についてはカナザワも同様ですがミドリのそれは非常に狡猾で計画性があります。ただし今回のシラユキの損傷は頭部に石のようなもので殴られたとのことなのでミドリの可能性は低いです。
本当にミドリが殺害していたのであればもう少し狡猾且つ確実に殺害を行うはずです。
スミレに至っては動機が弱いですし、アオキはそもそも殺害する動機がない。カナザワは微妙。と、考えればアカイが最も容疑が強いですね。
ネタバレを言ってしまうとアカイが犯人なのですが、彼はスマホのメールにクロダの名前を下書きに入れておくという裏工作をしています。
ペンライトを使用してシラユキの所持品を確認し工作したのは明白でしょう。
・裏工作にてなぜ親友のクロダを選んだのか。
この点に関してはいくつかの理由が挙げられます。まず彼が裏工作で作ったニセ証拠を出したのはゲームの最終日。おそらく5日間の間に最も疑惑が強かった人物を偽の犯人として立証するつもりだったのでしょう。
主人公の「クロダ」は5日間立て続けに犯人として疑惑をもたれていたので結果的に彼が偽の犯人として選ばれた。なおかつ「親友だから心苦しくて最終日まで立証できなかった」という理由を作りやすかったというのがあります。
仮にこれがサークルの別のメンバーでも、「同じ仲間を疑うのが辛くて言えなかった」と言えばいいだけです。
と、このように今回のゲームは非常に考察や推理が楽しいゲームとなっています。皆さんも一度プレイしてみてください。