深みの聖堂で出会った魔術師のオーベックさん。
クールな言葉遣い、どこか物憂げな表情、乙女ゲーを連想させるその佇まいはダークソウルでも屈指のイケメンキャラである。
ちなみにユリアからは危険視されている。
念願の魔術師キャラのオーベックを仲間にし、わーい!専門家の登場だー!これでやっと強い魔術を教えてもらえる!とウキウキるんるんで祭祀場に戻りオーベックに話しかけると……
- ソウルの矢
- 強いソウルの矢
- ソウルの太矢
- 強いソウルの太矢
- ファランの短矢
- ファランの速剣
- 魔力の武器
- 魔力の盾
- 隠密
- 音送り
何じゃこれ!!どれも教科書に載ってるような魔術ばっかじゃん1!
ソウルの矢とか祭祀場の侍女でも売ってるレベルだし!!隠密と音送りくらいしか目新しい物ないじゃない!!期待して損した!
さらにスクロールばかり要求するオーベックのそっけない態度にゴリアテは怒り心頭。
私こうまんちきな男はきらいなのよね!!
ぷんすかと怒りながらその後も約束したスクロールとちまちまとした買い物をするだけの事務的な会話ばかりでオーベックのもとに頻繁に通うことはなかった。
……
……それからいくつかの時が流れ、
物語も最後の王との対決に差し掛かった時、それは起きた。
ある日、ゴリアテはすべての魔術を習得すべくオーベックが売っている魔術を片っ端から買い占めた。
そして、オーベックの店にならぶ魔法がなくなった時、それは起きた。
オーベック「学院の真似事も楽しかったぜ……」
ゴリアテ「!!?」
突然デレ始めるオーベック。突然のことに困惑するゴリアテ。
悲しみに満ちた目で彼のデレ期はまだ続く、「俺はもうお前との約束を守ってやれない、教えられるものがない。お前に教えてやれないのは、嫌なんだよ……」
なんだか不穏なことを言うオーベック。どういうことだ?いつも気怠そうに会話してたのに、なんだこの子犬のようなオーベックは。
実は彼は魔術師ではなかったのだ。
学院で暗殺者をしていた裏社会の人間だった。魔術を学びたくて学院に入ったが、結局魔術は教えてもらえず学院から追放されたのだ。彼の初期のラインナップに教科書魔術とあってないようなささやかな隠密魔法しかなかったのはそのせいだった。


最後に彼がしていた静かに眠る竜印の指輪と隠密の動作を授かる。
「なあ、お前。無事でいろよ。」
好感度を最大まで上げた乙女ゲーの攻略キャラのようなことをいうオーベック。
だが、何とも絶望感漂う空気だ。
一抹の不安を抱えながら冒険に出ていくと……
いない!!
オーベックが失踪した!!


「おーーベックーー!!オーーベックー!!」
動揺しながらオーベックを探すゴリアテ。しかし祭祀場のどこを探してもいなかった。そんな時、その様子を見ていた師匠が……
呪術師の師匠「オーベックなら大書庫に行くっていってたよ」
と、教えてくれた。大書庫へ急げ!!
急いで大書庫を駆け上がるゴリアテ。なんだか嫌な予感がする!
早くオーベックを見つけ出さないと!彼のレベルでこの大書庫を探検できるとは思えない!
オーーベック!!
いやああああああ!!!
オーベックは大書庫の椅子に座ったまま死んでいた。


お前が!!お前がオーベックを殺したのか!!!
大書庫の敵を皆殺しにするゴリアテ。
だが、復讐を遂げてもオーベックはもう戻ってこないのだ。
オーベック……どうして……
オーベック。その死に顔は亡者だった。もしかしたら彼は亡者だったのかもしれない。
彼はゴリアテに魔法を教えることが生きがいになっていた。それは彼が憧れていた魔術学院そのものであり、彼が魔術師であることの証しだったのだ……。
だが教えるものがなくなった今、彼はゴリアテに教えられる魔法を得ようと、この大書庫まできたのだ。それは酷くけなげで、誠実で、そして儚かった。
「オーベック、ぼくは……魔法なんか教えてもらえなくても君とつれない会話ができる、それだけでよかったんだ」
オーベックは答えない。
亡骸になった空しい残骸がそこにあるだけだった。
おまけ
オーベックの遺体からもぎとったコート。
制服姿って感じで女の子が切るとオシャレ!ずっと着てみたかったんだよねー。
おまけ2(闇霊として侵入した先で…)
「オーベック!!オーベックじゃないか!!」※他人の空似です。