昨今、Dead by Daylightのファンの間で同人が盛んになっていますが、最近とくにゲームのパークアイコンをそのままキーホルダーにして、Boothなどのオンライン販売サイトで値段をつけて売るという行為が目立ちます。
今回は法的な観点を交えながらその行為の悪質性と危険性について書いていきます。
事の発端
このクソみたいにシビアな記事を書いたのは、DbDの同人においてゲームのアイコンなどをそのまま使ってグッズを販売する行為があまりにも目立つためでした。
ツイッターを利用して拡散を促したりプレゼント企画をしてバズをねらったり、フォロワーを増やすなど、それはもう公式に目が付けられるのではないかと言うレベルで拡散されていました。
該当の行為は前々からクリエイターたちからも指摘されており危険視されていました。
結論を言うとアイコンのキーホルダーを個人的に作ってSNSで公開するだけなら大丈夫です。
問題は、元々友人などに個人的にプレゼントしたりしていただけだったのに、ガンガン作って、バンバン値段をつけて販売し、プレゼント企画をやりまくって、なかばそれを自分の商品的価値として拡散していたことでした。
ちなみにこの件について、聞くと
「公式に許可されているから違反じゃない」
「二次創作を描いた人に許可をとったから違反じゃない」
との回答があったので、本当に違反ではないのかについても調べました。
日本と海外じゃ同じ同人でも全然危険性が違う
昨今起きましたときめきメモリアルのグッズ関連の事件でもそうですが、同人即売会は許諾がない限り完全なる権利侵害です。
それはDbDでも同様で、二次創作はOKですが同人即売会やオンライン販売は完全にアウト。そのため良識ある創作者は公けに拡散したりはせずひっそりとやっていることが多いです(一部の人は拡散しまくってるけど)。
販売という言葉ではなく頒布という言葉が使われるのはそのためです。
日本ではゲームのデザインそのまんまでグッズを出すことは特にタブー視されています。
アイコンなどをそのまま出すと権利者の利益を奪い損害賠償金額を出せてしまう
ゲームのデザインをそのまま出すということは権利者の利益を奪い取る行為に直結するからです。
創作性のある漫画、イラストは権利者も同一のものを出すことはできませんが、アイコンをそのままつかったり酷似させたりコラージュさせただけのものをだすという行為は、権利者が本来できることを横から掻っ攫っています。
将来的に権利者がグッズ化したり、コラージュさせてキーホルダーとかにしたりしようとしたとき権利者が得られる利益が減ってしまい実害となります。
また具体的な損害賠償金額として算出できる点もポイントです。
日本のメーカーは寛容だけど海外はヤバい
このように実害となってしまえば日本で黙認されている同人文化を潰すしかほかなりません。
そのためゲーム内で使われているデザインをそのまま出したり、酷似デザインを出したりすることは創作者たちからタブー視されているのです。
しかしこれは日本国内の同人文化に理解のあるメーカーの話で海外のゲームになると問題はもっと深刻になります。
海外には同人文化がないので漫画もグッズも全部権利侵害で訴訟対象
洋ゲーは二次創作には比較的寛容だったりしますが同人は別です。同人即売会のように創作性のあるアートを値段をつけて売る場所があるなんて想像もしませんから、アイコンをそのまま使おうが、創作性のある漫画だろうが全部権利を侵害している違法な著作物とみなすのです。
これと前述したバンバン売って、ガンガン作る行為が結びついてくると、その人を発端に同じ同人活動をしている人たちも芋ずる式に訴訟されるということが起きます。
だってわかんないもん。漫画がよくてキーホルダーがダメな理由。
ゲームのアイコンそのまま使えばみんな欲しいわ
個人が漫画を描いたり絵を描いたりという行為は、人によってうまいへた、好みがあるので正直言ってあまり価値がありません。
でもゲームのアイコンってプロが作ってるのでそらデザインもいいし、プレイヤーもいつもなじみがあるので欲しいと思います。
バズって当たり前。人気がでて当たり前。アイコンをそのまま使ったり特徴だけ似せてかけば誰だって人気がでます。権利を使うというのはそういう事なのです。
そしてそんなことをしていれば公式の目にもすぐに届きます。簡単に公式に発見されて、簡単に訴訟に結びつくのです。
海外は日本と違い簡単に訴訟する
この話を直接本人にしたときに「注意されたらやめればいいんだよ」と言われました。
海外のゲーム会社がやるとするなら「注意」ではない可能性が高いです。
やるなら「訴訟」です。
アメリカを見ればわかりますけど日本と違って訴訟大国ですよね。日本と違って簡単に訴訟する国です。
そもそも日本は裁判を起こせば金がかかるし弁護士費用も金がかかる。
著作権侵害をしている人を民事訴訟しても本人の懐にお金がなければ弁護士費用だけがかかりマイナスになって手間も時間もかかります。訴える方が大変なのです。
でもアメリカもカナダも、日本ではありません。
そもそも権利侵害しているのになぜ注意してもらえると思うのでしょうか。
やるなら訴訟です。そして一発で途方もない金額を請求されるかもしれません。
そしてBoothを通じてDbDで検索すれば訴訟対象なんていくらでも出てきます。
公式に理解があればいいけど、私がそのあたり話を聞いた感じ理解がある人と、金銭のやり取りをするのは絶対ダメ!日本の同人文化意味わからん!という人で別れてるみたいです。
BHVR(Dead by Daylight)の二次創作規約の解説
ここからさきは実際に権利者が二次創作の規約を掲示していましたので法的な見解を合わせて解説していきます。
Terms of Use - JA - Behaviour Interactive
DbDの二次創作は商用利用でなければOK
下記の文章からDbDのファンが行う二次創作は許可されていることがわかります。
ただし
- 非営利であること、
- 元のゲームのレーティングを尊重すること、
- そしてコラボ先の作品などはBHVRが権利を所有していない
コラボ先の許諾を確認する必要があります。許諾されてなければNGです。
BHVRは、以下の条件が満たされた場合に限り、ゲームのゲームプレイフッテージやアートワーク(第三者のコンテンツ、音声、音楽を除く)などの「ファンコンテンツ」の一部の使用を許可し、ウェブサイト、YouTube、または類似のデジタルサービスに公開する許可を決定することがあります。
- ファンコンテンツは非営利活動に利用されます。
- ファンコンテンツを投稿する際には、ゲームのESRBレーティングを尊重しなければなりません。
- ファンコンテンツがBHVRの所有でない場合は、第三者のライセンスを取得し、それを尊重しなければなりません。
- 利用者は利用規約を尊重しなければなりません。
BHVRは、本項および利用規約に定められた条件のすべてが尊重される限り、本項で許可された目的のために、ファンコンテンツを改変せずに使用したり、地域的、時間的な制限なくファンコンテンツを改変したりするための無償、非独占的、譲渡不可のライセンスを許諾します。
この内容を見るに、ゲームのアイコンでキーホルダーを作ってSNSに自慢する行為も非営利であれば大丈夫だと思います。
営利目的(販売)は絶対NG
二次創作は非営利に限定されています。販売や金銭の譲受をともなうやり取りはNGです。
以下の文章からわかります。ただし広告収入に関しては別みたいでファンコンテンツをブログやyoutubeに貼ってそこから収益化するのはできるみたいです。
ファンコンテンツを営利目的で利用することは禁止されています。そのため、ファンコンテンツへのアクセスを許可する場合にいかなる種類の料金を請求することも認められていません。
ファンコンテンツから収益を得るためにサブスクリプション料金やアクセス料金を請求する場合は、当社との間でライセンス契約を締結したときにのみ許可されます。特定のファンコンテンツのファン利用に関してここで認められた限定的な許可は、そのような状況をカバーするものではありません。ただし、一般的に広告が適用される法令を遵守している限り、広告を使用してファンコンテンツを収益化することができます。
ゴリアテのブログについてモデレーターに聞いたとき「翻訳をそのままブログに載せるのは違法なんだけど創作性のある自分の文章が含まれてればOKなんだけどね~」って雑談してたんですけどこれの事だったのかな。
争点:何が営利目的に該当するか
ここまで同人が違法行為ということを書いてきました。
既に活動している方はわかりきっているのですがこの問題の発端はやっている人が「違反でも違法でもない」「許可をとってる」「公式も許可している」と言い張っていたことです。
しかしここまで説明してもまだ、「自分は営利目的でないから大丈夫」と反論する方がいらっしゃいます。
そう営利目的がNGと書かれているから、営利目的じゃないという主張で通そうとしているのです。
そこまできたらなにが営利目的にあたるのかが争点となりますのでこれを想像し得る主張を照らし合わせていきます。
主張:少額で取引し、材料費と送料がかかるから営利目的ではない
ここまで読んでもまだ納得しない理由として考えられるのは「材料費と配送料だけを値段につけて利益が発生していないから商用ではない」と言い張るパターンだと思います
キーホルダーなどに数百円の少額だけ値段をつけて、自分では材料費と送料がかかってるがわかってるのでそれだけいただいているというパターンです。
そこまで言うなら。SNSでガンガン拡散させたり、フォロワー増やしたり、プレゼント企画しないでください(泣)
あと少額でもその数が100件、200件と多くなれば3万円、6万円の利益が額として記録に残りますよね。その額を見た時本当に利益が発生していないと、第三者が見て思うでしょうか?
権利者側の主張:オンラインストアでプライスカード出してる時点で商用利用
殆どの方はBoothなどで同人作品を掲載しそこに料金が乗っていると思います。
権利者がそれを見た時に本当に営利目的ではないと判断しますでしょうか。
料金表があって、プライスカードがあって、しかもCMSサイトまでやってる。
材料費?配送料?でも商用取引してんじゃん。と思うのではないでしょうか。
自分では「材料費でマイナスだから商用じゃない」と主張するから大丈夫と思いがちです。
ですが法的な解釈をするとき双方の主張を第三者視点で裁判官が判断します。
だから自分ではどんなに筋が通って行っても第三者から見たら
「商用取引的に値段をつけ販売サイトを活用している。そのため非営利目的とは言えない」
と判断されかねないのです。
結論:利用規約と照らし合わせたら完全アウト
ここまで長々と説明しましたが、利用規約に「いかなる種類の料金を請求することも認められない」とかいてあります。
ファンコンテンツを営利目的で利用することは禁止されています。そのため、ファンコンテンツへのアクセスを許可する場合にいかなる種類の料金を請求することも認められていません。
なので完全アウトです。ありがとうございました。
おまけ
そもそもグッズを展示して値段をつけるって行為そのものが侵害になるので開き直って違反じゃないと言い張るのはやめたほうが良いと思う。
同人は許諾がなければ権利侵害であることは明らかなので、自らがそれをやっているというていで目立たないように活動しようというのが、同人ルールができた理由なのだから。
おまけ:じゃあどうすりゃいいの?
イラストを誰かに書いてもらってキーホルダーにしていくらいくらで頒布してもいいか?って聞いて文章に残して、でもってひっそりとやるしかないんじゃないかな。
ロゴやアイコンをそのまま使うとかに関係なく、昔DbDの同人問題で、漫画を頒布したりイラストをグッズ化していたりした人が「同人はグレーでルールがあるんだから公式に報告するな!!」とモデレーターに苦情を言いまくってる創作活動者がいました。
モデレーターが洋ゲーオンリーに参加していてその時の様子を報告するか迷ったみたいです。
でもその人たちも、同人即売会前から自分のグッズを写真に撮ってプライスカードを展示しまくって100RTとか25RTとかガンガンバズらせていました。私は相互フォローとしてその行為はどうなの?と思いました。
私がその行為を「公式に報告するなっていうけど、SNSを使ってバズらせたりしてるじゃん。そういうのもよくないと思う」と指摘したときブロックされました。
その人は今他のジャンルで活動しているようです。結局はお金目的で荒稼ぎして大きなツラして飽きたら他のジャンルに行く人なんだなと思いました。
上記のような結果、公式にはコスプレ文化だけ報告され同人問題は今のような形になりました。
公式で禁止されており、でも同人文化も良い所がある以上、バズを狙ったりはしないでひっそりとやるしかないんじゃないかなと思います。
他ジャンルみたいにこのゲームの同人作家稼業で1000万稼いだ!とかフォロワー数10万!とかをねらうのはやめたほうがいいともいます。