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ひぐらしのなく頃に業 郷壊し編23話の感想と考察「実は鉄平も天涯孤独に耐えられない」

第23話 郷壊し編 其の六

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郷壊し編23話先読みしたけど……今日は鉄平に主軸を置いたストーリーになっている。

 

 

主なストーリー

ループを繰り返していると周囲の人物がたまに記憶を取り戻したりらしくない行動をしたりする。ループによって発生する余波みたいなものであり、ループを引き起こす人物により近い物からその傾向は顕著になる。

 

今回は沙都子がそれなので、最も因縁の強い人物はなんと虐待をしていたチンピラの叔父である。

 

孤独死を何度も経験する叔父。孤独が精神を蝕み寂しさと悲しみに支配される。

 

大人であっても孤独というものは辛いものだ。だからこそ酒やギャンブルに逃げる。鉄平の孤独はそれでは紛らわせないほど強く濃くなっている。

 

パチンコ屋で親子連れを見かける鉄平。いつもなら恫喝しそうなものだが今の鉄平は憑き物が落ちたかのように力ない。

(この時代のパチンコ屋は庶民の娯楽で田舎であるほどパチンコ屋以外に遊ぶ場所がない。平成になるとパチンコ屋で子供が誘拐される事件が起きて、18歳未満の入場禁止になるがこの時代は子供と一緒にパチンコ屋に入れた)

 

そして出会う沙都子。もちろん沙都子は怯えるが、鉄平は沙都子を助けたりお菓子をあげたりらしくない行動をする。ループに置いて絶対6の目を出す沙都子だが、まるで7の目でも出したかのような気分だろう。

 

沙都子が不良に絡まれてしまい助けようとするが警察に捕まってしまった鉄平。警察が来るのがむちゃくちゃはやいので不良とトラブった時点で雛見沢の人が警察を呼んだんだろう。

 

暴行で事情聴取され「イライラしてやった」みたいレベルのテキトーなことを言う鉄平。雛見沢の人たちの目撃証言で沙都子を助けるためと速攻でばれる。雛見沢の人は鉄平に対する心象は良くないが、ちゃんと良いことをすれば見ていてくれるようだ。

沙都子も自分を助けてくれたと素直に話す。沙都子が賽を投げたこの世界は今までの世界とは大分違っている。

 

鉄平は皆殺し編の時点で孤独に苦しんでいた一人

これゲーム本編を見てからもずっと思っていたのですが、鉄平は沙都子を虐待した悪逆非道のチンピラとして描かれていましたが、雛見沢ダム騒動で北条家がスケープコードにされていじめにあい苦しんでいた一人でもあります。

 

周囲が鉄平を悪として扱うから、鉄平もそのようにふるまう。その原因を作った兄弟は尚憎い。でも同時に住民たちから無視され、いじめられ内心は酷い孤独感にさいなまれていました。尚且つ妻も殺されてしまいその精神的なダメージは計り知れないでしょう。

 

私も鉄平みたいなチンピラは嫌いですが、いつも心の底で思っていたことがあります。周囲が鉄平に悪を求めるから、彼も悪になろうとするのではないかと。

 

鉄平にとっても天涯孤独は耐えられない

若い世代から見ると50代くらいの男性は気性が荒く頑固でしかないように見えるかもしれません。ですがこの年くらいになると一種の弱さを抱えるように思えます。弱いからそれを表面的な強さで覆って隠そうとするのです。それは死への恐怖だったり、孤独への苦しみだったり、不安だったり、人は何かしらの弱さを抱えている。

  

孤独感の強い人間ほど、心の底では人とのつながりを狂おしいほどに求めながら、それは絶対に手に入らないことを理解している。絶対に手に入らないとわかると、人を攻撃したり、当たり散らしたりすることで最低限のつながりを得ようとする。それはネットでも同じで苦しんでいる人ほど誰かを中傷したりする。

 

一度死んだ人間は人格が180度ぐるりと変わると言われます。ふらふらと力ない目で街をうろつく鉄平。

 

死を察した人間が最後自分の故郷を訪ねるように、昔住んでいた家を訪れる。住民たちは相変わらずそっけない。そんな中、沙都子とでくわす。鉄平にとっては唯一の親族。まだ彼は天涯孤独じゃない

自分のした罪を自覚しているため後ろめたい鉄平。おびえる沙都子。鉄平はパチンコ屋で交換したお菓子を沙都子にあげて帰ります。まるで人が変わってしまったような行動をする鉄平。

 

鉄平だって最期の瞬間くらいは、誰かに優しくしたい。悪人の自分ではなくて、良い人になりたかったのではないでしょうか。悪役のジレンマ。

 

感想

正直いうともう表面的な恫喝や態度ではどうしようもなくなったんじゃないかなと思います。今まで孤独や絶望を紛らわせていた暴力も酒もギャンブルも全然効かない。だからそれらをしなくなったように見えました。

 

皆殺し編で住民たちが団結するシーンでも思いましたが、鉄平という共通の悪を作ることで住民たちが仲直りするというシナリオになっています。鉄平は沙都子をいじめから救うための必要悪だったのです。

でもその時点で雛見沢のしこりは消えていないんです。なぜなら鉄平も村八分にされた被害者の一人だから。

 

だから本当の意味で村が団結するのであれば、鉄平を敵にしてはいけないのです。彼のしたことは許されないことですが、その原因を作ったのは村全員の業でもあります。

 

孤独死は非常に辛いものです。男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く。男は孤独死すれば、死んでその体に蛆が沸き腐っていく。

孤独死というのは死ぬとき最後まで孤独感にさいなまれ、かつて親や兄弟に囲まれていた幸せな記憶を狂おしいほどに願いながら孤独によって殺されます。その体は腐り落ちて周囲を腐敗させ汚し悪臭を放ち、死んでからも尚人から嫌悪されます。

 

生きていても救われないが、死んでからも救われない。一切愛されなかった男は、死んでからも嫌われ続ける。抗いようのない絶望。

 

孤独死を繰り返し絶望を繰り返したことで、周りから求められた「悪人」になっても、鉄平が本当に欲しいものは手に入らない。だからやる意味がない。

 

沙都子に「老後の面倒をみてもらいたいからでしょ?」と聞かれて「そうかもしれんな」と答える鉄平。

 

でもこれ本当は少し違うんじゃないかな。誰かに看取られたいというよりも、最後死ぬとき誰かに悲しんでもらいたいんじゃないかな。自分が死ぬときに誰かの心に差し掛かる存在になれたなら、それは自分が孤独ではないことの証明になるのではないでしょうか。

 

答えは誰にも分らない。